マルチメディア情報編集・流通技術調査専門委員会 設置趣意書

1.目的
 マルチメディア技術の普及と共に,新たな電子媒体を用いたコンテンツ産業が誕生した。従来の報道・出版産業が、紙と印刷技術、そして電波と通信機器を用いたのに対して、新たなコンテンツ産業は、受信側での編集を可能にする光ディスクやパソコンを使用する。更には、インターネットを用いて、受信者が発信者にも成れるスパイラル編集を実現する。
 既に、光ディスクを用いた百科辞典などの図書出版、そして電子カタログ販売も始まっている。しかし、電子媒体を用いたコンテンツ産業の持つ可能性は高いが、まだ、従来ビジネスの電子化の域を越えたとは言えない。これは、例えば、映画の黎明期に、舞台演劇と変わらない映画が作られたのと同じ状態であろう。
 本調査専門委員会での調査研究対象は、今後出現するコンテンツ産業、そのコンテンツ産業が必要とする情報システム、その情報システムが必要とする情報処理技術である。

2. 内外の趨勢
 インターネットを使用して情報サービス、光ディスクなどの電子媒体との複合化を図った電子図書出版、更には放送技術とインターネットや光ディスクを複合化した報道・出版は、従来型コンテンツ産業の試みである.しかし、それだけではなく、コンテンツ産業化の試みは、行政の電子化(電子政府)、金融業の情報産業化、製造業のサービス産業化など、あらゆる分野で行われている。
 これらの動きに対応して、Visualization技術、Image Description技術、Image Retrieval技術などの国際学会論文誌や書籍が出版され、活発な研究活動が行われている。また、現在のマルチメディア技術は、従来の産業の垣根破壊を促すが、それに対応した情報処理技術として、Cooperative Mobile Agents技術やHeterogeneous Autonomous Distributed Database技術などの研究開発も行われている。しかし、マルチメディア情報編集・流通技術は、あらたなコンテンツ産業指向の情報技術である。

3. 調査研究事項
 1)コンテンツ産業の将来像
 2)コンテンツ産業のための情報システム
 3)マルチメディア情報編集技術
 4)マルチメディア情報のための蓄積・検索・探索・探査技術
 5)マルチメディア情報流通技術

4. 予想される効果
 本調査研究の目的は、コンテンツビジネスを行うための情報システム、即ち、マルチメディア情報の編集・流通のための情報システムが調査研究の対象である。ただし、この調査研究から副次的に、マルチメディア情報処理のハードウェア技術に対する新たな研究開発課題が生まれる筈である。特に、大規模なマルチメディア情報を扱うには、その蓄積と検索のための新たなハードウェア技術や、その探索・探査のための入出力装置が必要だからである。

5. 調査期間
 平成12年4月1日から、平成14年3月31日

6. 構成メンバー(ABC順)
 委員長  三森定道(同志社大学工学部知識工学科 教授)
 委員  秋田収 ((株)日立製作所 I.e.ネットサービスグループ情報サービス事業部)
 委員  藤井秦文((株)日立システムアンドサービス HDHビジネス本部 本部長)
 委員  河田勉((株)東芝デジタルメディア機器社 情報サービス事業推進室 室長)
 委員  薦田憲久(大阪大学大学院工学研究科情報システム工学専攻 教授)
 委員  住吉英樹(NHK放送技術研究所 マルチメディアサービス 研究員)
 委員  矢島敬士((株)日立製作所システム開発研究所 主管研究員)
 幹事  芳賀博英(同志社大学工学部知識工学科 助教授)